「Park Yong Ha ~Song For You 10th Anniversary」
先日、初めて彼のコンサートを仕事抜きで見に行った。
アートディレクションさせていただいた
『LOVE』本と『ONE LOVE』本を書かれた大橋美貴子さんに、
お誘いいただき日本デビュー10周年のコンサートへ。
普段はカメラマンが会場のどこにいるか、
K-POPのヴィジュアルムックでも、どのシーンが大事かなど、
頭の中で組立てながらステージを確認しているので、
何も考えずに見たのは初めてだった。
オーケストラの生演奏が始まり、
ステージのサイドにいつもあるスクリーンを見ているような感じで、
青いペンライトの会場に溶け込んだヨンハさんの姿が、
すうっと映った瞬間、
思わずステージの中央に視線を向けてしまうほど、
今ここに彼がいる!と感じてしまう演出と、
CDよりむしろステージで聴く方が心の震えるあの歌声、
会場からステージへとかけられた彼を呼ぶ声援に、涙が止まらなかった。
結局、コンサートの最初から最後まで……。
彼の死に、わたしはずっと向き合っていなかった。
献花式に関係者として行ったのだけれど、会場に長くいることが辛く足早に去った。
また、彼の持ち物を展示したイベントにもよんでいただいて、
『LOVE』本で、大変お世話になったスタッフの方と会場で再会し、お互い言葉もなく抱き合って泣いた時も、
それは瞬間的なもので、
今回の『ONE LOVE』本の作業していても、「彼がいない」ということに本当に実感がなかった。
衝撃が大き過ぎると心は泣くことさえ、何処かへ追いやってしまう。
『LOVE』ツアーでは、調子があまり良くないとき、
よくのどを手で押さえる仕草をしていたヨンハさんに「大丈夫ですか?」と声をかけていたのだけれど、
5周年ライブの後に「今日はのど大丈夫でしたね!」と声をかけると笑顔で「はい!」と返ってきた。
本の感想も聞き、気に入っているとのことで、
「撮影もまたやりましょう!」という話で別れたのが、わたしの最後に交わした言葉になった。
そして『LOVE』本のホテルでの撮影後、
その場にいた撮影スタッフに「面白い顔をしてください」と言って、
変顔をしながら一人一人と写真を自分撮りしてくれたヨンハさん。
カメラマンの細野晋司さんが送ってくださった、その写真を見るのも辛くてやめていた。
今、このコンサート会場には彼を知るたくさんの人たちがいる。
思い切り悲しんでもいい、あの時間を、あの笑顔を思い出してもいいのだと、
青い光の波を眺めながら声を押し殺すのが苦しいくらい泣き続けた。
「関係者席で何やってるんだろうな……」と、頭では理解しているのにどうしようもなかった。
彼の涙の映像を見ながら『ONE LOVE』本の中で、
ファン方々の声に涙でうるんで目の周りが少し赤くなってる写真を使ったページ、
そういえば、気が付いてもらえてるのかな……と。
改めて歌詞をみたら、今のわたしの気持ちのようだった。